製造業では、自社工場を持たずに企画と販売に集中する「ファブレス」という形が定着しました。同じ発想を物流に当てはめたのが「物流のファブレス」です。倉庫も車両も人員も自社で抱えず、機能として外部から調達する。その考え方と、向き不向きを整理します。

持たないことで、何が変わるか

自社倉庫を持つと、賃料・人件費・設備は固定費になります。繁忙期に合わせて広さと人員を用意すれば、閑散期にはその分が余ります。逆に閑散期に合わせれば、繁忙期に回らなくなります。この振れ幅を吸収するのが、外部化のいちばん分かりやすい効果です。

もう一つは、意思決定の速さです。取扱商品が増えたとき、販路が増えたとき、自社設備だと増床や採用から検討が始まります。外部化していれば、まず今のやり方で受けてみて、量が読めてから設計し直すという進め方ができます。

向いているケース・向いていないケース

「強みが出荷作業にある」場合でも、全部を抱え込む必要はありません。こだわりのある工程だけ自社に残し、残りを預けるという分け方もできます。

「全部か、ゼロか」で考えない

物流のファブレス化は、倉庫をまるごと手放すことだけを指すわけではありません。保管だけ、出荷だけ、繁忙期だけ、といった部分的な外部化も同じ発想です。実際、最初から全面委託に踏み切る事業者は多くありません。

まずは負荷の高い工程を1つ切り出して、外に出したときに何が楽になり、何がやりにくくなるかを確かめる。その結果を見てから範囲を決めるほうが、後戻りが少なく済みます。

判断のはじめの一歩 現在かかっている物流コストを「固定費」と「変動費」に分けてみてください。固定費の比率が高く、しかも稼働に波があるほど、外部化で効く余地が大きくなります。

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